2026年4月1日、電気通信事業法の一部改正が施行された。今次改正の適用対象は、海底ケーブルや湖底ケーブル等の水底線路を自社で敷設・運用する認定電気通信事業者(NTT・KDDI・ソフトバンク等の大手通信キャリア、専門的な海底ケーブル事業者)に限られる。インターネット接続・固定電話・携帯電話を「利用する」立場の一般中小企業・個人事業主・フリーランスには、今次改正が直接課す義務・手続は存在しない。改正の実質的内容は第140条(水底線路敷設の届出)・第141条(水底線路保護区域の指定)の技術的整備と、2025年5月成立のNTT法関連改正に係る附則の段階施行である。
改正の内容と対応の難しさ
第140条(水底線路敷設の届出)・第141条(水底線路保護区域)の整備
第140条は、公共の水面に海底ケーブル・湖底ケーブル等の水底線路を敷設する場合の届出手続を規定する条文である。認定電気通信事業者は工事開始前に、線路の位置・工事時期・工事概要を総務大臣および関係都道府県知事に届け出ることが義務付けられており、今次改正でこの規定が技術的に見直された。第141条は水底線路から1,000メートル以内の区域を「保護区域」として指定する制度を規定しており、保護区域内での船舶係留・底びき網漁業等は制限される。
NTT法関連附則の段階施行
2025年5月21日成立の「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」に含まれる附則の段階施行分として、NTT東西の固定電話ユニバーサルサービス義務の「最終保障提供責務」への移行(他の通信事業者が進出していない地域限定の責務)、および線路敷設基盤(電柱等インフラ)の譲渡等に際して総務大臣の認可を要する制度の導入が含まれる。
立場別の対応難易度
| 立場 | 今回の改正との関係 | 対応内容 |
|---|---|---|
| 一般中小企業(法人) | 適用対象外 | 対応不要 |
| 個人事業主・フリーランス | 適用対象外 | 対応不要 |
| 税理士・会計士事務所 | 適用対象外(クライアントも基本対象外) | 対応不要 |
| 社労士事務所 | 適用対象外(労働関連規定の変更なし) | 対応不要 |
| 認定電気通信事業者 | 適用対象 | 届出様式・手続要件の確認が必要(専門家への相談を推奨) |
あなたの立場別・対応ガイド
一般中小企業・個人事業主・フリーランスの方
今回の改正による直接的な対応は不要です。インターネット接続・固定電話・携帯電話等の通信サービスを「利用する」立場には、今次改正が課す義務・手続は一切ありません。
ただし、自社事業として通信インフラの設置・運用(海底ケーブル敷設、通信基地局設置等)を行っている場合は、下記「認定電気通信事業者の方」の項目をご確認ください。
税理士・会計士事務所の方
クライアント(一般中小企業・個人事業主)への影響はありません。クライアントから問い合わせがあった場合は、「水底線路を自社で設置・運用する認定電気通信事業者のみが対象であり、通信サービスの利用者には対応義務はない」とお伝えいただけます。
社労士事務所の方
今回の改正に労働・雇用関連の規定変更は含まれていません。クライアントへの影響もなく、対応不要です。
認定電気通信事業者の方(内部担当者向け)
今次改正は第140条・第141条の水底線路規定の見直しと附則の段階施行を含みます。自社が第140条の届出義務対象に該当する場合は、以下の手順で確認を進めてください。
- 総務省電気通信事業部のWebサイトにアクセスし、改正後の第140条届出様式・手続要件を確認する
- 水底線路の工事前届出(届出先:総務大臣および関係都道府県知事)に変更がないか法務部門で確認する
- NTT東西に関しては、ユニバーサルサービス制度移行・線路敷設基盤譲渡認可制の社内対応手順を法務部門と確認する
届出様式は総務省所定様式。電子申請の可否は総務省窓口に要確認(窓口または郵送が主流の可能性あり)。
今日からできる最初の一歩
認定電気通信事業者の担当者の方:
→ 次回の法務・コンプライアンス定例会議の議題に「電気通信事業法第140条届出様式の変更確認」を1行追加してください。会議前に総務省電気通信事業部のサイトで最新様式を確認するだけで完了します。
一般中小企業・個人事業主の方:
→ 今回の改正はあなたに対応義務を生じさせません。このページをお読みいただいた時点で、確認作業は完了です。