法改正ウォッチ
参考情報 施行済み 2026年4月1日施行

解体前クロマグロ「30kg以上」の取引、届出と3年記録——水産事業者は体制確認を

漁業者(太平洋クロマグロ大型魚採捕事業者)養殖業者(クロマグロ)水産物流通事業者(卸売・仲卸・加工業者)水産物輸出入事業者

公開日: 2026年4月9日

最重要ポイント

何が変わったか

漁業法に「特別管理特定水産資源」概念が創設され、太平洋クロマグロの大型魚(30kg以上・解体前)が水産流通適正化法の規制対象に追加。届出・情報伝達・取引記録3年保存が義務化された。

誰が影響を受けるか

漁業者(太平洋クロマグロ大型魚採捕事業者)、養殖業者(クロマグロ)、水産物流通事業者(卸売・仲卸・加工業者)、水産物輸出入事業者

何をすべきか

要対応: eMAFF届出と3年間の取引記録整備

漁業法および水産流通適正化法の改正(令和6年法律第66号)が2026年4月1日に施行された。対象は太平洋クロマグロの大型魚(30kg以上・解体前)を取り扱う漁業者・養殖業者・流通事業者・輸出入事業者に限定される。解体後の切り身・刺身のみを扱う小売業者・飲食店、および水産業以外の一般中小企業・製造業・サービス業は今回の改正による対応不要

自社が対象かどうかを確認するための判断基準は「解体前の太平洋クロマグロ大型魚(30kg以上)を取り扱っているか」の一点に絞られる。

改正の内容と対応の難しさ

漁業法に「特別管理特定水産資源」という新概念が創設された。個体の経済的価値が高く、国際的な枠組みにより厳格な漁獲量管理が必要と認められる水産資源を指し、現時点では**太平洋クロマグロの大型魚(30kg以上)**が指定されている。本改正の背景には、クロマグロの漁獲量不正報告事件(漁業者による過少申告)と、国際的な資源管理強化要請がある。

水産流通適正化法の規制対象魚種として、従来のアワビ・ナマコ・シラスウナギに加え、**太平洋クロマグロの大型魚(30kg以上・解体前のもの)**が追加された。「解体前」とは生鮮・冷蔵のラウンド、えらはら抜き(GG)、ドレス状態を指す。ブロック・フィレに解体された後の状態は対象外。

新たに課される三つの義務(対象事業者):

  1. 届出義務 — 農林水産省(複数都道府県展開の事業者)または都道府県(単一都道府県内の事業者)への事前届出
  2. 情報伝達義務 — 取引のつど、魚種名・船舶名・個体重量・陸揚げ日等を取引先に伝達
  3. 記録保存義務 — 取引記録を3年間保管

採捕者への罰則(漁船の操業位置把握機器の設置命令違反)も新設された。

立場難易度必要な対応の概要
採捕事業者(漁業者)GビズID取得→eMAFF届出→個体記録・情報伝達・3年保存
養殖業者(クロマグロ)同上(採捕者として届出)
水産物流通・加工・輸出入事業者GビズID取得→eMAFF届出→情報伝達・記録3年保存
小売業・飲食店(解体後のみ取扱)対応不要
一般中小企業(非水産業)対応不要

届出手続き自体はeMAFFを通じたオンライン申請で完結する。複雑なのは日常業務への組み込みで、取引のつど情報を伝達・記録する運用体制の整備が求められる点。既にアワビ・ナマコ・シラスウナギで届出済みの事業者は追加届出不要(体制は既に整備済みのはず)。

あなたの立場別・対応ガイド

採捕事業者(クロマグロ漁業者・個人事業主含む)

Pattern A — 届出手続きは次の手順で完了する。

  1. GビズIDプライムを取得する(未取得の場合)— GビズID申請サイトでオンライン申請
  2. eMAFFにログインし「採捕者の届出」を提出する — 単一都道府県の許可なら当該都道府県へ、農林水産大臣許可・複数都道府県許可なら国へ届出
  3. 採捕のつど個体記録を作成する — 船舶名・個体ごとの重量を記録(水産庁書式を使用)
  4. 取引先に情報伝達を行う — 魚種名・船舶名・個体重量・陸揚げ日・届出採捕者の氏名または名称・天然/養殖/輸入の別を伝達
  5. 取引記録を3年間保管する — 電子・紙いずれでも可

届出様式はWord形式で水産庁HPからダウンロードできる。不明点は水産庁加工流通課(03-6744-0581)へ。

養殖業者(太平洋クロマグロ)

Pattern A — 採捕事業者に準じる対応が必要。

  1. GビズIDプライムを取得する(未取得の場合)
  2. eMAFFで届出を提出する(採捕者または取扱事業者として)
  3. 出荷のつど取引先に必要情報を伝達する — 魚種名・船舶名(または養殖場名)・個体重量・陸揚げ日・「養殖」の別を明記
  4. 取引記録を3年間保管する

水産物流通事業者(卸売・仲卸・加工・輸出入事業者)

Pattern A — 取扱事業者として以下の手順で対応する。

  1. GビズIDプライムを取得する(未取得の場合)
  2. eMAFFで「取扱事業者の届出」を提出する — 事務所が単一都道府県内のみなら当該都道府県、複数都道府県にまたがるなら農林水産省へ
  3. 仕入れ時に販売元から取引情報を受け取る — 魚種名・船舶名・個体重量・陸揚げ日等を確認
  4. 販売先に同情報を伝達する — 解体前の状態で販売する場合のみ(ブロック・フィレ等に解体後の販売先への伝達は不要)
  5. 取引記録を3年間保管する — 電子・紙いずれでも可

既にアワビ・ナマコ・シラスウナギで届出済みの事業者は届出不要だが、クロマグロに関する情報伝達・記録保存の運用を既存体制に追加することが必要。

小売業者・飲食店(解体後のクロマグロのみ取扱)

今回の改正による直接的な対応は不要。ただし、仕入れ先(卸・仲卸等)から取引情報の提供を求められる場合があるため、取引実態を確認しておくこと。もし解体前(ラウンド・GG・ドレス)の大型クロマグロを仕入れるケースがあれば、届出対象に該当する可能性がある。

一般中小企業・製造業・サービス業

今回の改正による対応は不要。

今日からできる最初の一歩

水産物流通事業者へ: 今日の業務終了時に、取り扱い商品リストで「解体前の太平洋クロマグロ30kg以上」の取引実績があるか確認する。対象品がある場合は、eMAFF届出の完了状況と取引記録フォームの整備状況を確認する。

採捕事業者・養殖業者へ: 今日、GビズIDプライムの取得状況を確認する。未取得であればGビズID申請サイトをブックマークし、明日の業務開始時に申請手続きを開始する(取得まで数日かかる)。

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