法改正ウォッチ
要対応 施行済み 2026年4月1日施行

財産分与の請求期限「2年→5年」——事業資産が混在する経営者は要確認

個人事業主・中小企業オーナー経営者(離婚当事者の場合)税理士・会計士事務所

公開日: 2026年4月9日

最重要ポイント

何が変わったか

離婚後の財産分与請求期限が2年から5年に延長され、取り決めなしでも子1人月2万円の法定養育費が自動適用される制度が新設された。父母双方が親権者となる「共同親権」も選択可能になった。

誰が影響を受けるか

個人事業主・中小企業オーナー経営者(離婚当事者の場合)、税理士・会計士事務所

何をすべきか

要確認: 専門家への相談を推奨

令和8年(2026年)4月1日、民法の家族法分野(親権・離婚・養育費・財産分与)が大幅に改正・施行された。一般の中小企業(法人)への直接的な規制義務は発生しない——届出・設備投資・費用は一切不要だ。影響があるのは、個人事業主・中小企業オーナー経営者が離婚当事者となる場合、または税理士・会計士がクライアントへ情報提供する場面に限定される。過去5年以内に離婚の経験も予定もない事業者は、情報把握のみでよい。

改正の内容と対応の難しさ

財産分与の請求期限が2年→5年に延長(第768条改正)

離婚後に相手方へ財産分与を請求できる期限が2年から5年に延長された。夫婦の貢献(家事・育児等含む)を原則50:50とみなす規定も明文化された。

個人事業主・オーナー経営者への影響:事業用資産と個人財産の分離が不十分な場合、離婚後5年間は事業資産が財産分与の対象として争われるリスクが継続する。ただし対策はある——顧問税理士と財産分離状況を事前に確認しておけば、リスクを大幅に軽減できる。

経過措置: 財産分与の5年延長は2026年4月1日以降に離婚が成立したケースに適用される。施行前(2026年3月31日以前)に離婚した場合は旧法(請求期限2年)が引き続き適用される。ただし施行前に離婚していても、共同親権への変更申立は施行後に家庭裁判所へ申立可能。

共同親権制度の導入(第819条改正)

離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」が選択肢として加わった(選択的共同親権制)。協議離婚は父母の合意で共同・単独を選択し、折り合いがつかない場合は家庭裁判所が「子の利益」を最優先に判断する。DVや虐待リスクがある場合は裁判所が単独親権を命じる。

進学・医療方針など子に関わる重要な決定は、共同親権を選択した場合は両親の合意が必要になる。日常的な育児判断(食事・通学等)は単独で行える。

法定養育費の新設と先取特権(第766条の3・第308条の2新設)

取り決めがなくても離婚時点から子1人当たり月額2万円の「法定養育費」を請求できる制度が新設された(別途協議・調停で取り決めた場合はその額が優先)。養育費請求権には先取特権が付与され、文書による取り決めがあれば裁判なしで財産差押えが可能(上限:子1人月8万円)。

対応難易度の目安

立場対応の難しさ必要なこと
一般中小企業(法人)対応不要情報把握のみ
個人事業主・フリーランス(離婚の予定も経験もない)対応不要情報把握のみ
個人事業主・オーナー経営者(離婚当事者または過去5年以内に離婚済み)複雑専門家への相談を推奨
税理士・会計士事務所中程度クライアントへの情報提供と弁護士連携

あなたの立場別・対応ガイド

一般中小企業(法人)

今回の改正による法人としての直接的な対応は不要です。ただし、経営者個人が離婚当事者となる場合は下記「個人事業主・オーナー経営者」の項目を確認してください。また、従業員がDV被害相談や育児対応の変更等を抱えている場合は、HR・総務担当者として社労士や弁護士への相談窓口整備を検討してください。

個人事業主・フリーランス(離婚当事者または過去5年以内に離婚済みの方)

事業資産管理に直接影響する可能性があります。今回の改正は法的判断が求められるため、以下の専門家への相談を推奨します。

誰に相談するか:

  • 弁護士(家族法専門):財産分与請求の可能性・共同親権の選択・養育費の取り決め
  • 顧問税理士:事業用資産と個人財産の分離状況の確認・財産分与算定基準の把握

相談前に確認しておくこと:

  • 事業用資産(設備・預金・在庫等)と個人財産の区分が明確になっているか
  • 離婚後に取得した事業資産が財産分与の対象外となるよう整理されているか
  • 共同親権を選択する・されている場合の事業継承・相続計画への影響

税理士・会計士事務所

事務所としての手続きは不要です。ただし個人事業主・中小企業オーナーのクライアントから、財産分与・共同親権が事業資産に与える影響について相談を受ける可能性があります。以下の手順で対応を進めてください。

  1. 2021年4月以降に離婚した個人事業主・中小企業オーナーのクライアントを顧問先リストから抽出し、財産分与請求期限が5年に延長されたことを情報提供する
  2. 事業用資産と個人財産が混在しているクライアントには、財産管理体制の見直しを顧問契約の範囲内で提案する
  3. 法律判断(共同親権の選択・財産分与の交渉)が必要なケースは、家族法専門の弁護士との連携を推奨する

参照:法務省「民法等の一部を改正する法律」Q&A → https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html

今日からできる最初の一歩

個人事業主・オーナー経営者(離婚当事者または過去5年以内に離婚済みの方): → 次回の顧問税理士との打ち合わせの議題に「事業用資産と個人財産の分離状況の確認」を一行追加する。

税理士・会計士事務所: → 今月中に顧問先リストを確認し、2021年4月以降に離婚した個人事業主クライアントへ財産分与期限延長(2年→5年)の情報を案内する。

この改正への対応でお困りの方は

専門家に相談することで、具体的な対応方法や期限を確認できます。

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