2026年4月1日、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)が改正施行された。直接の義務対象は「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」を規模閾値以上で製造・販売する大規模事業者に限られる。飲食店・サービス業・小売業・IT業など製造業以外の中小企業には今次改正による直接的な法的義務は生じない。製造業の中小企業であっても、自動車年産1万台・プラスチック容器包装年間1万トン・家電4品目各5万台の規模閾値を下回る場合は直接義務の対象外だ。ただし、大企業の部品・資材・包材調達先に位置する中小製造業者は、取引先の計画提出義務(2027年6月末)が近づくにつれ、再生材対応を取引条件として求められるケースが出てくる可能性がある。
改正の内容と対応の難しさ
改正前の資源有効利用促進法は廃棄物の「排出抑制・再利用・再資源化」を義務の中心としていた。今回の改正では、これに加えて製造・販売段階から再生材(リサイクル原料)を積極的に使う「インプット義務」が初めて設けられた。
主な改正内容(4点)
① 再生材利用計画の策定・報告義務(新設) 「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」を指定規模以上で製造・販売する事業者は、再生材利用計画を策定して主務大臣(環境省・経産省)に提出し、毎年実施状況を報告する義務を負う。取り組みが著しく不十分な場合は勧告・命令・企業名公表の行政措置がある。初回計画提出期限は2027年6月末日。定期報告は2028年度以降。
② 環境配慮設計の認定制度(新設) 耐久性・修理性・資源効率が優れた設計を行う事業者を「認定事業者」として認定し、金融支援・税制優遇などの特例措置を付与する。自発的取り組みへのインセンティブ策。
③ GX原材料の再資源化優遇(拡充) LIB(リチウムイオン電池)・電子部品等の回収・再資源化に高い水準で取り組む事業者を国が認定し、廃棄物処理法上の業許可を不要とするなど許認可手続きを簡素化する。
④ CEコマースへの基準設定(新設) シェアリング・リユース・レンタル事業者に資源有効利用の業種基準を設定し、市場規律を導入する。
対象規模と閾値
| 対象製品 | 規模閾値 |
|---|---|
| 自動車 | 生産・販売1万台/年以上 |
| プラスチック容器包装(飲料PETボトル除く) | 取扱量1万トン/年以上 |
| 家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機) | 各品目5万台/年以上 |
※製品の最終政令指定は2026年度中に確定予定。閾値は規模で判定するため、中小企業でも超えれば義務対象、大企業でも下回れば対象外。
難易度開示
| 立場 | 直接義務 | 対応難易度 |
|---|---|---|
| 一般中小企業(規模閾値未満) | なし | 監視継続のみ |
| 一般中小企業(閾値に近い場合) | 要確認 | 政令確認で判断可 |
| 廃棄物・リサイクル業者 | GX認定は任意 | 省令確定後に申請検討 |
| 大企業・上場企業(閾値以上) | あり | 計画策定が必要・専門家支援あり |
あなたの立場別・対応ガイド
一般中小企業(製造業・食品流通)
規模閾値未満であれば直接義務は生じない。ただし、自社の生産規模が閾値に近い場合や大企業サプライチェーンに組み込まれている場合は以下のステップを踏むこと。
- 自社製品の確認: 自動車・プラスチック容器包装・家電4品目のいずれかを製造・販売しているか確認する
- 規模確認: 生産・販売量が各品目の規模閾値を下回ることを確認 → 下回る場合は直接義務なし
- 政令の最終内容を確認: 2026年度中に確定する指定製品リストを環境省(資源有効利用促進法概要ページ)で確認する
- 取引先の動向を監視: 大企業取引先から再生材対応の問い合わせが来始めたら、取引先の義務スケジュール(計画提出2027年6月末)を把握し、対応内容を整理する
サプライチェーン上流に大規模製造業者がいる中小企業(自動車部品・食品容器包装メーカー等)は、直接義務はなくとも取引条件の変更が来る可能性があるため、取引先との対話を早めに始めることが望ましい。
廃棄物・リサイクル業者
LIB・電子部品等の回収・再資源化を手がける事業者には、廃棄物処理法上の許可が不要となる「GX認定制度」が新設された。許認可コストの削減につながる可能性がある。
- 対象品目の確認: 自社の取扱品目(LIB・電子部品等)が「GX原材料」に該当するか、経産省公表の政令リストを参照する
- 認定取得の検討: 国の認定を取得すると廃棄物処理法上の業許可が不要となる。許認可簡素化の恩恵を受けられるか事業規模・取扱品目を照らして検討する
- 省令確定後に申請: 詳細な認定手続きは省令策定後(2026年度中)に環境省・経産省から案内予定。公式サイトを定期確認し、案内が出たら申請を検討する
今回の改正による直接的な規制義務は廃棄物・リサイクル業者には課されておらず、GX認定は任意の支援措置。
大企業・上場企業
規模閾値を超える製造・販売事業者には計画提出義務がある。2027年6月末の初回提出期限を見据えて早期に準備を開始すること。
- 指定製品の確認: 自社製品が「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」に該当するか確認(2026年度中に政令で最終指定)
- 規模の判定: 生産・販売量が各品目の規模閾値を超えるかを確認 → 超える場合は義務対象
- 計画様式の入手: 主務大臣(環境省・経産省)が定める計画様式を省令策定後(2026年度中)に入手
- 計画の策定: 脱炭素化再生資源(再生プラスチック等)の利用目標を含む「脱炭素化再生資源利用計画」を社内で策定する
- 計画の提出: 2027年6月末日までに主務大臣へ計画を提出(初回)
- 定期報告体制の構築: 2028年度以降、前年度の実施状況を毎年報告する体制を整備する
- 支援制度の活用: 必要に応じてGX推進機構から計画作成に関する助言・支援を受ける
計画提出義務違反には20万円以下の罰金。取り組みが著しく不十分な場合は勧告・命令・企業名公表の行政措置があるため、義務対象と判定された場合は計画策定を確実に進めること。
今日からできる最初の一歩
製造業の中小企業(閾値確認が必要な場合): 今週中に自社の製品カテゴリと年間生産・販売量を一覧化し、規模閾値(自動車1万台・容器1万トン・家電5万台)との比較を1枚のメモにまとめる。閾値を大きく下回ることが確認できれば、取引先の動向監視のみで当面は問題ない。
大企業(義務対象の可能性がある場合): 次回の環境・法務担当者会議のアジェンダに「指定製品・規模閾値の自社確認」を追加し、2026年度中に確定する政令内容を踏まえた計画策定スケジュールを年内に決定する。